「本当の悪人」?

先日たまたま「報ステ」を見ていたら、元木村建設東京支店長、篠塚明被告保釈・会見のニュースの後で、古舘さんが自らの不明を前置きした後、だいたいこんなことを言っていた。
「本当の悪人はどこにいるんだ、という気がします」。

「個」を見つめるダイア・スーグ

古舘さんは、「本当の悪人」=「総研」と言いたかったのだろうか?
それとも、コスト削減を追及せざるを得ない今の日本の経済システムが「本当の悪人」だと言いたかったのだろうか?

耐震偽装の問題は、興味を持っていた別のニュースとちょうど同時期に報道されていたために、結果としてウォッチすることになってしまった。
せっかくなので、メディア・リテラシーを鍛えるためのいい素材だと考えている。
このブログでも「テレビニュースにならなかったニュース(?)」なんていうエントリーを書いたりもした。

さて。
「本当の悪人」=「総研」なのだとしたら、「報ステ」は何かそういう情報をつかんでいるのだろうか?
そういう情報を得た上で、古舘さんは「警察がバカだから総研をつかまえられないんだ」と言いたいのだろうか?
あるいは、「警察を抑えるような巨大な圧力が、もっと上の方からかかっている」ということを暗に視聴者に伝えたかったのだろうか?

耐震偽装に関して総研の関与が取りざたされていた頃、あらゆるテレビニュースのキャスターたちは、「悪の親玉が見つかりました」的な義憤チックな深刻な表情をして(しかもちょっと得意げに)、総研のことを伝えていた。
古舘さんも例外ではない。
視聴者は、そのことを覚えている。
というか、そういう印象が残っている。
(ちなみに、最近はHDDレコーダーの容量が莫大になり、キーワードを設定するだけで、それに関する番組を簡単に録画できるみたいだから、耐震偽装に関してすべての報道を録画している人がいるかもしれない)。

そういう背景の中で上記の古舘さんの発言をとらえると、やはり「総研」=「本当の悪人」と言っているように感じられる。
そうなのだろうか?
だとしたら、これははっきりと決着をつけなければならない問題だろう。

同じテレ朝の「サンデープロジェクト」では、姉歯被告と「総研」の内河所長が何のつながりもなかったことをレポートしていたし、「テレビニュースにならなかったニュース(?)」の中で触れた読売新聞の総括記事では、「偽装は、姉歯被告の個人犯罪と断定せざるを得なかった」とされている。
で、「報ステ」はどんな事実をつかんでいるのか?

古舘さんの発言から、「日本の経済システム」=「本当の悪人」という暗示は、実はまったく導き出せない。
なぜなら、「報ステ」は耐震偽装事件に関して読売新聞がやったような総括をしていないからだ。
(実はあまり見ていないので本当は断定してはいけないのだが、古舘さんの発言を聞いて、たぶんこの番組は総括してないなと踏んだ次第。間違っていたら申し訳ない)。

義憤チックに総研をニュースに登場させたニュース番組が、事件の総括なしで、「本当の悪人は・・・」なんてまたまた義憤チックに言い放ったら、視聴者の多くは(それを否定する内容のニュースソースを目にしていなければ、という前提付きだが)、「やはり総研が本当の悪人なんだ」と思うかもしれない。
で、言いたいのは、くどいようだが、実際にそうだとしたら、ニュース番組としてきちんと決着をつけなければいけないだろう、ということ。

具体的には、総研の内河所長は「本当の悪人」だったのか、それとも、単にキャラが強くて商売上手なおじいさんだったのか、という問題だ。
単にキャラが強くて商売上手(ただちょっと悪人顔)というだけで、「本当の悪人」扱いされるとしたら、たまったものではないだろう。
テレビニュースの「変」なところだ。
(あ、番組が違った)。

義憤チックな「言いっぱなし」は、その前置きを含めて、視聴率を稼ぐためのテクニックの一つではあるのだろうが(もちろん、苦笑する視聴者もいるに違いない)、報道番組という器の中では倫理的にどうかと思う。
自分のような不明な人間が言うのもなんなのだが、致命的に無責任、なんじゃないのだろうか。
しかも、ブログじゃないんだし。

ここまで書いて、ある重大なことに気づいてしまった。
昔、「ニュースステーション」が始まったころ、「ニュースステーション」の視聴者は皆久米さんの言うことをいちいち真に受けているのではないか、久米さんに洗脳されているのではないか、みたいなことが言われたことがあった。
当時よく「ニュースステーション」を見ていた自分としては、そんなことはない、ちゃんと批判するところは批判しながら見てるよと、と思いつつ、一方的に決め付けられるのはどうしようもなく嫌だな、と憤りを感じたものだ。

それなのに、今回は、自分自身が、「報ステ」の視聴者は古舘さんの発言を無批判に受け入れているのではないか、みたいな危惧を勝手に抱いているのだった。

おいおい、と思ったり。

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